夏のサマー2016

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もうすぐ充電器に支配される世界がやってくる?

「誰か充電器って持っていない?」

 ここ数年で頻繁に聞くようになった言葉だ。スマートフォンの電池は減りが早いので、外出先で残りわずかになることが珍しくない。だから、友達と出会うとすぐこの言葉が出る。
 ふと身の回りを見ると、充電しなきゃいけない器機が少しずつ増えていることに気づく。

 携帯電話。掃除機。ノートパソコン。カメラ。音楽プレイヤー。Wi-Fi。電子ブックリーダー。

 電気自動車を持っていたら、これも充電しなきゃいけない。たぶん思い出せないだけで他にもあるんだろう。
 ここ数年で充電器の地位はかなり上がった。充電器がないと使えないのだから、どっちが主でどっちが従だかわからない。

 今、この瞬間に充電器が世界からなくなったら、大混乱になりそうだ。

 こういった傾向を見ていると、これからやってくる「どこにいてもネットワークに繋がれる社会」は、「なんでも充電器の世界」なんじゃないだろうか。

 例えば、寝袋。
 これを充電しておく。すると、寝るときに自動で温度調節してくれるようになる。ついでに子守唄も流そう。落語でもいい。あと安眠効果もあるアロマの香りもするようにする。
 空に映画を投影したっていい。もちろん、眠りに入ったらそれを感知して、そこで再生が終わる。次に見るときは、その10分前の部分から再生してくれる。
 この機能があれば『アラビアのロレンス』も最後まで見れる気がする。あれ、3時間以上あるので腰が重いんですよね。

 あと缶ジュースやペットボトルも充電できたらいい。
 充電しておくと、保温・保冷機能が作動していつでもいい調子で飲めるようになる。僕はホットコーヒーをよく飲むのだけど、せっかく買ったのに冷めてしまうなんてことがある。これを電気の力で何とかしてほしいものだ。
 そう考えると食べ物も充電できるといいかもしれない。例えば果物は充電しておけば、いつでも甘いのだ。麻婆豆腐はいつだって辛いし、ラーメンは伸びない。うなぎはオールシーズン食べられて、松茸は無限増殖する。

 もっと充電できたら便利なのは、テーブルタップだ。
 あれをコンセントに挿せば、そのまま充電できるようにしておく。外出先に持っていって電源タップに挿せば、電気が使えるようにするのだ。
 これを持ち歩けば、どこに行っても人気者だ。なにせ何人も同時に野外でコンセントが使えるのだから、みんなのスマホの充電が切れそうになったときに取り出せば、一躍ヒーローになれる。
 テーブル電源から始まる恋もあるかもしれない。「あの人の電源タップで充電すると、電池が長持ちするのよね」とか。

 あらゆるものが充電できるようになり、充電器なしじゃ世界が回らなくなると、充電器はこんな疑問を持つかもしれない。
「僕らがいなくちゃ人間は生活できないのに、何でいつまでも偉そうに使われてなきゃいけないんだ」
 そうして、充電器たちの反乱が始まる。人類は充電器がないと生活できないので言いなりになる。世界は充電器が支配する。

 そんな未来だってあるかもしれない。

(おわり)

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