未来のビジネス書は「作者そのもの」になることができる
いわゆる「ビジネス書」をけっこう読んだりする。最近買ったのだと、『最速の仕事術はプログラマーが知っている』だ。
- 作者: 清水亮
- 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
- 発売日: 2015/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ビジネス書を買う理由は人それぞれだろうけど、僕は「作者のようになりたい」から買う。
こういう理由ってけっこうな割合いると思う。その人に憧れるから、その人みたいになりたくて、その人が書いたビジネス書を手に取る。
「その人」になりたい。
つまり、ビジネス書は変身願望を満たすためにあるのだ。ということは、いずれ書籍という形態を超えて、ビジネス書は進化していくだろう。
ヘッドギアをつけて、バーチャルリアリティの世界で、「その人」になってしまうのだ。大前研一や中谷彰宏、佐藤可士和に。
近未来の本屋は、そういう場所になっている。お金を払えば、まるでガンダムを操縦するように、大前研一になれてしまう。読者はVRの世界で大前研一となって、大前研一の仕事ぶりを追体験できる。
ちょっと大きな本屋に行けば、そういうジャンキーでいっぱいだ。大前研一になることに魅了され、大前研一になることにお金を使いまくっている中毒者が大量にいる。
彼らは自分が一番、大前研一を上手く操縦できると思っている。
大前研一ぶりがスコア化され、そのランキングを競っている。特に新宿の紀伊國屋書店は、大前研一ジャンキーの聖地だ。凄腕の大前研一プレイヤーが集まり、大前研一の技を競っている。
Aさんは大前研一歴が10年になる。中学の頃、学校生活に馴染めずに、大前研一に自分の居場所を見つけた。
「大前研一になっていると、安心するんです。本当の自分になれているっていうか・・・」
今のAさんの目標は、プロの大前研一になること。実は大前研一人口は世界中にたくさんおり、大前研一っぷりを競う大会が各国で行われている。
日本にはまだいないが、大会の賞金だけで暮らすプロの大前研一が、海外には多数いるのだ。
次の世界大会に向けて、Aさんは特訓を欠かさない。
「この前、大前研一が働いていたという日立製作所を見学しました。海外の大前研一と違い、リアルな大前研一に触れられるのが、日本の大前研一の強みです。それを最大限に活かして戦いたいと思います」
そう言うと、Aさんは「これから日課の素振りがあるので」と去っていった。毎日300回の大前研一の素振りをしているという。彼の努力が実る日は近いだろう。
僕もそのときがきたら大前研一になろうと思います。
(おわり)