夏のサマー2016

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美容室に自転車が飾られている理由がわかった

 美容室の前を歩いてると、不思議に思うことがある。
 やたらと店の中にマウンテンバイクが飾られているのだ。自転車屋ならわかるのだけど、何で美容室に自転車が置いてあるのだろう。待ち時間に乗ってもいいのかな。近くの24時間スーパーに行ってみたり。

 美容師をやっている知り合いに聞いて、その疑問は解決した。
 あれはただの飾りじゃなくて、実際に美容師が使っているんだそうな。東京には駐輪場が少なく、近くに止めるところがないから店内に置いているとのこと。
 それと店側からなるべく店舗の近くに住んでほしいという要望もあるらしい。そうなると自然と自転車通勤になるのだとか。

 そう言われてみれば、そんな気がする。路上駐車するわけにもいかないし。
 どんどん駐輪の基準は厳しくなっているから、将来はどこに置いても怒られるかもしれない。「ホイールの直径が60cm以上の自転車は、ひと目に触れるのはダメなんです」とか。

 そうなると美容師も対策しなければいけなくなる。

 例えば、禁酒法時代にはカクテルのブラッディマリーを、トマトジュースだと言い張って飲んでいたらしい。
 だから「これは自転車じゃない」と主張すればいいんじゃないだろうか。「車輪の回転で蚊を追い払う道具です」とか。

 あるいは変形して、自転車じゃなくなればいい。ガシャンガシャンガシャンと折りたたんだら、でっかいハサミになれば問題ない。シザーハンズみたいな感じで。髪を切るときにそれを振り回していれば、ジッとしているのが苦手な子どもも喜んでくれそうだ。

 じゃあもう身体と一体化しちゃえば良いんじゃないだろうか。
 自転車にもハサミにもなる右手。これなら撤去される心配もない。右手のハサミで氷を削って、街に雪を降らせることもできる。

 そうやって、美容師になるには改造手術を受ける必要が出てくる。それにはとても高いお金がかかるので、資産家の子どもしか美容師になれない。
 しかし、どうしても美容師になりたい少年は、地下社会に出入りして、非合法な行いでお金を貯めていく。いつかみんなの髪を切ることを夢見ながら。
 ある日、親友のボブが脇腹に穴をあけて少年の家にやってくる。
「へへっ、しくじっちまったよ。お前、俺の髪を切るのが夢だって言っていたよな。だから、最後にやってもらおうかなって・・・」
 少年は決断に迫られる。親友の髪を切りたいが、それをすると美容警察に逮捕されてしまう。だけど、これを逃すとボブの髪が切れることは二度となくなる。

 少年は考える。

 少年はハサミを手に取る。

 少年は・・・。

(おわり)

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