都市機能は指1本でマヒさせられる?
僕が働いている会社では始業に遅刻しそうなとき、メールで報告することになっている。
だから、朝は「10分ほど遅れます」なんていうメールがいっぱい届く。70人も社員がいれば、毎日誰かしら遅刻している。
遅刻の理由で一番多いのは、「電車遅延」だ。遅延する理由は様々で、何かトラブルが起きてしまう度に遅延している。
動かなくなった電車にたまたま乗り合わせていると、スマホで通話を始める人が少なくない。おそらく、会社に電話しているのだろう。ひょっとしたら「きみの住む駅で電車が止まっちゃったんだけど、久しぶりに会おうよ」なんて言っている人もいるかもしれないけれど。
電車の1両の定員は約150人だそうなので、10両あるとして1500人乗っている計算になる。みんな始業開始に合わせて通勤しているんだと仮定したら、1500人が遅刻することになる。それぞれが違う会社に勤めているとしたら、1500社に影響が出ている。後続車への影響を考えると3000、4000となるだろう。
その人が遅刻することで困る人はその2倍、3倍の数になる。
この電車遅延は人為的に起こすことが可能だ。各車両には「緊急停止ボタン」が付いているので、これを押したら止まるのだろう。
そして、押されたらその原因を特定しなきゃいけないので、何分も止まらなきゃいけなくなる。
指1本で数千、数万の人にネガティブな影響を与えることができる。
じゃあ、これが全路線で一斉に起きたらどうなるのだろうか?
都市がまるまる停止することになる。
数十人が集まってしまえば、やろうと思えばできてしまう。
だからといって緊急停止するボタンを取り除いて起こるリスクもあるだろうし、どうしたものなんでしょう。
一番いいのは始業時間の厳守をやめて、遅刻してもへっちゃらな世界にすることなのかもしれない。
そうしたら遅延にいちいちイライラしたりしないし、小休止程度に考えられるだろう。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の精神でみんなで遅刻していたら、そういう世界になりませんかね?
それもやろうと思えばできることです。
もうすぐ東京オリンピックが開かれる。オリンピック開催中に一斉にボタンが押されたら、どうなってしまうのだろう。
(おわり)